皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?
どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。
「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」
そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」
35回目となる今回は、人々の毎日を「ステキ」にアシストするために日々様々な情報を発信しているコミュニケーションプランナーの方が教えてくれた1冊です。
「なんだこれ止まらない……!」という感覚を初めて味わったというその本は、今でも彼の中の「とある感覚」を刺激し続けているといいます。いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう!
お話を伺った人
ryoさん
1988年東京都生まれ。都内在住。「あなたの毎日をもっとステキに」をキャッチコピーに、キャンプ、DIY、マーケティング、カフェ、よなよなエール等の情報を発信するブログ「ステキアシスト」を運営。「自分が考えたことで誰かに喜んでもらえたら」という思いをベースに精力的に活動を続ける。「よなよなエール」「水曜日のネコ」「インドの青鬼」などを発売しているクラフトビールメーカー『ヤッホーブルーイング』のファンイベント『ファン宴』の運営メンバーとしても奔走。一緒にいると自然と笑顔になってしまいます。直近では転職を機に訪れたアフリカ紀行が読み応え抜群。
やめられなかった、とまらなかった、1冊。
「この本に出会うまで、ちゃんと一冊の本を読んだことがなかったんですよね。読書感想文とかで強制されて読むのもなんだかなあという感じだったし、読んだとしても要所だけつまんで、飛ばし飛ばしやってました笑」
そう語るryoさんは当時中学生。なかなか長い間読書経験がなかったようですが、夏休みに「1冊だけ」ちゃんと読んでみようと考えたのだそう。そして彼が引き当てたのが今回の「撮っておきの1冊」である宮部みゆき『龍は眠る』でした。
本作は、雑誌記者高坂昭吾が、超能力を持つという二人の少年と脅迫・誘拐事件に巻き込まれていく様子をスリリングに描いたミステリー小説で、宮部みゆきさんの初期の作品です。刊行は1991年、第45回日本推理作家協会賞を受賞しています。1994年にはフジテレビ系でドラマ化もされているようです。
何を読もうかも考えないまま本屋さんに向かったryo少年は、たまたま新潮文庫のフェアに目を留めたのだそう。面白い本の選び方など分かる筈もなく、これぐらいだったら読めそうかなあという軽い気持ちで『龍は眠る』を手に取ったのだといいます。
「そこでよ、ホント初めて! 止まらないっていうのをこの本で初めて感じたんだよなあ。これを読んでミステリーや宮部みゆきにハマった。ミステリーってジャンルで読む本を広げていって、今は宮部みゆきより伊坂幸太郎だけど、最初は宮部みゆきだった。本の面白さみたいなのを教えてくれたのは、コレなんですよね」
今でもオススメの本を尋ねられると、必ず『龍は眠る』を挙げるというryoさん。一度しか読んでいないため、ストーリーについては忘れている部分もあるといいますが、面白かった記憶が「こびり付いている」んだとか。
この1冊をきっかけに本の面白さを知ったというryoさん。今では自身のブログで読んだビジネス書の紹介をするほどに読書が習慣化しているようです。
そんなryoさんが『龍は眠る』を読んで一番驚いたのが、彼独特の表現でいうところの「読むと文学的になる自分」の存在に気付いたことだといいます。一体どういうことでしょう?
「読んだ後に、自分の行動が宮部みゆきの文章になって出てくるというか、モノローグを自分でやっちゃうみたいな笑 なんていうか、自分の頭の中に活字になって出てくるこの感覚がすごく面白いなと思ったんですね。『〜と朧げに思いながら僕は手を挙げた』みたいなのが出てくるのがすごく楽しくて読んでたみたいなところもあったなあ。漫画にはない良さっていうか、小説ならではの描写の仕方というか、想像させる余白みたいなところがすごく好きですね」
実にいい楽しみ方だと思います。何を隠そう、僕も中学生の時やってましたねえ。つい懐かしくなってしまいました。
読むということは旅するということ、な1冊。
海外旅行に行くのも好きだというryoさん。旅先にはいつも何冊かの本をお供にするといいます。今年転職をするタイミングでアフリカを旅してきた際にも数冊の本を連れて行ったようです。
「全然何も知らない、勝手の分からない国に自分を放り出してみると、全部が全部、本当に一挙手一投足が初体験みたいな感覚を味わうことができるんです。その只中で生きていると、日本にいる時には働かない第六感みたいなところが冴えてくる感じがあって、この感覚が好きで旅行してるところもある。この感じ、結構読書にも似てる感じがあるなあと今回アフリカで思ったんですよね」
ここから先は全てが未知!という領域に踏み込んで行く高揚感、そこで自身の全てをアンテナにして一歩一歩進んで行く中で、己の中で冴え渡っていく不定形な、でも確かなあの感覚。言われてみれば確かに、旅することと本を読むことは似ているのかもしれません。
旅行が好きなryoさんの嗜好は、実は『龍は眠る』によって呼び起こされたものなのかもしれない? なんて思うのはご都合主義にすぎるでしょうか。 そう思っていたのですが…?
「今回のアフリカでの旅で、旅行と読書のリンクしている部分をようやく言語化できたんです。最初は、海外来てるのにわざわざ本読んじゃってる自分カッコイイ、みたいな感覚が好きで本を持って行っているんだと思ってたんだけど、『龍は眠る』で味わったあの感覚が僕のどこか奥底に眠っていたのかもしれないな」
上手いこと言われてしまいました笑
最近は国内にいたとしても、読書をしていれば海外に行ったのと同じような感覚になれると語るryoさん。海外に一度しか行ったことのない僕にはその感覚が分かりませんが、なんだかとても羨ましいです。そこまでryoさんを連れて来てくれたのは、始まりの1冊であった『龍は眠る』なのでしょう。
「この本が、僕に読書をする体力をつけるきっかけを作ってくれた。この本を読んでいなかったらビジネス書もまともに読めてなかったと思うし、そう考えると今の僕はなかったのかもしれないな、なんて」
飄々と語るryoさんですが「ステキアシスト」の思考が誕生していなかったかもしれないと思うと、宮部みゆきさんと『龍は眠る』に感謝せずにはいられません。宮部さん、ナイスアシストです。
撮影を終えて
時にはクラフトビールのファンイベントを成功に導き、時には手際よくキャンプをし、またある時はネットラジオのパーソナリティ、そして遠くアフリカでミラクルを連発する男。そんなryoさんとお会いするのは、実は今回が2回目でした。
いつも気になる方のホントレートをお届けしておりますが、今回は気になるところが多すぎて、ほとんどお話したこともないのに取材をさせていただきました。一体この人は何をする人なんだろうとずっと考えていたんですが、結局「ステキ」だということが浮き彫りになっただけでした笑
次のステキなアシストも楽しみにしてます!(クラフトザウルス飲みたいです)
というわけで第35回目のホントレートはここまで。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!
あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?
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