皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?
「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」
そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」
40回目となる今回は、枠にとらわれず「クリエイティブとは何か」を日々模索しているPlannerが教えてくれた1冊です。
自身にはない視座、選択肢がこの世界には無数に存在することを教えてくれたというその本は、社会と自分との向き合い方にまで関わるものでした。いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう。
お話を伺った人
サタマサトさん
1991年奈良県生まれ。新卒入社の企業にて多様な活躍を見せた後、退職日と同日に長期間の海外へ旅立つ。テキスト、写真、動画制作などの様々な分野で活躍。運営するブログ「TOKIORI」では理想的な生き方を模索。暮らしが豊かになるアイテムや旅先の魅力を精力的に発信している。2019年にはクリエイター仲間6人で「hypen,(ハイフン)」を結成。同年9月、クラウドファンディングで資金を集め、自身が編集長を務めた「ふたたび、暮らしを考える。」雑誌「hyphen,」を創刊。現在は台北に在住し、インバウンドを通じ日本の文化を世界に拡めることを生業としている。
旅という暮らしのあり方を教えくれた、1冊。
2020年より拠点を台北に移し、日本の文化を世界に拡め・浸透させるために日々勤しんでいるサタさん。海外旅行の経験も豊富で、インド、スリランカ、ベトナムなどなど各地での体験や注意点についてブログで記事化されています。
そんなサタさんが紹介してくれたのは高橋歩『WORLD JOURNEY』 2年にわたり夫婦で世界を一周した著者の経験をあれやこれやと詰め込んだ、世界一周放浪ガイドです。世界一周を経験した13人の旅のスペシャリストによるリアルな体験談も満載で、賑やかに楽しめる1冊。
中学生の時にこれを読んで、サタ少年は世界に旅立ちたくなったんですね、と前のめりで質問をする庵主に不敵な笑みをこぼすサタさん。
「この本を読んですぐに海外に行ったわけじゃないんですよ。高校時代には音楽にのめり込んでいましたし、夏休みを利用して短期留学をする、みたいなカタチは自分の考える旅とは違うなと思っていたので」
そう話す彼が初めて海外旅行に行ったのは、意外なことに大学生の時だったのだといいます。海外旅行に役立つ情報やアドバイスを多く発信しているサタさんのことですから、高校生の頃からガンガン各地に出向いているものだと思っていた庵主は、少なからず驚きました。
「この本が海外を旅する時に役立ったかというと、そういうわけでもないですからね笑」と聞いていよいよ困惑する庵主を尻目にサタさんは続けます。
「役に立ったかどうかという視点で僕はこの本を見ていませんでした。ただこういう風に世界を旅して暮らしている人もいるんだということを知ることができた1冊なんです。そういう選択肢も人生にはあっていいんだと、この本には教わりました」
人々の間に入って暮らしたくなる、1冊。
そんなサタさんが海外という外の世界に初めて触れたのは、小学校の異文化交流の時だったといいます。オーストラリアからやってきた言葉の通じない人間との出会いを経て、サタ少年の心にとある思いが芽生えます。
「世界って広いじゃないですか? 日本って小さいじゃないですか。このまま日本だけで生きていくのはもったいないなと思ったんですよね」
小さくて、些細な世界との接点でしたが、この時サタさんに萌した思いが、後に『WORLD JOURNEY』と出会う準備になったのかな、そんなことを思わずにはいられません。
「こんな本を紹介しておきながら、こんなことを言うのもアレなんですけど、色々旅をしてみて僕は純粋な意味で旅が好きだというのとは違うなとも思っているんです」
旅はどこまでいっても消費であることには違いがないのだといいます。それを理解した上でサタさんは、海外のそこで暮らす人たちの間に入っていって暮らすようになるまでが「旅」だと考えているのだそう。そうして「海外で働きたい」という思いが頭をもたげたのは、彼の中ではごく自然なことだったのかもしれません。
サタさんと今回の「撮っておきの1冊」との距離感は、これまでにないある種独特なものがありました。片時も離せない、そういうものではない。それでもどこかで緩く連帯しているような、確実に彼と世界とのとっかかりを形成しているような、そんな感じ。うまく言語化できませんが、付かず離れずというぐらいのスタンスが心地よく感じました。
撮影を終えて
サタさんのことは、彼のカメラレンズ紹介記事で知りました。そこから広がって生きる姿勢を模索するあり方や、クリエイター仲間との魅力的な活動に惹かれ、密かにファンをやっていた庵主です。今回お話を伺った中で文中に出てきていない部分にも、サタさんの生き方を感じることができ、やっぱりこの人はカッコいいなと思いました。まさか取材後に国境を隔ててしまうことになるとは思いませんでしたが、また面白い世界を見せてくれるのだろうなとワクワクもしています。
あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?
ホントレートのご依頼は上記のページをご覧ください。