ホントレート

【#ホントレート 22】書き出しに刺され、引き込まれる体験を。デジタルライフクリエイター高澤けーすけの撮っておきの1冊

皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

22回目となる今回は、最近はyoutubeに活躍の場を広げつつあるブロガーさんが教えてくれた1冊です。

あまり小説を読むタイプではないという人の心に残っている本ということで、ワクワクしながらお話を伺ってきました。いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう!

お話を伺った人

高澤けーすけさん

1992年和歌山県生まれ。東京都在住。誰でも楽しめる「WEBの棚(LEDGE)」をテーマにガジェットの紹介を軸にしたブログ「webledge」を運営中。独立後はyoutubeにも力を入れ始めている、勢いのある男。21撮目のホントレート に登場してくれた琴さんと令和婚をキメた。羨ましい。

本を読まない=嫌いではない。

「前もって言っておかないといけないんですけど……僕正直そんなに本読まないんですよ。あんまり本が得意ではないのが前提なんです」そんな言葉で幕を開けた今回のホントレート 。それは逆に気になりますよね。そんな方の心に深く刺さっている1冊なのですから。ちなみにその本というのが……三田誠広『いちご同盟』です。教科書でその一部を読んだという方も多いのではないでしょうか。

そんな本書とけーすけさんの出会いは高校時代に遡ります。当時数ヶ月に1度あった学校のテスト。国語では毎回5冊ほどの課題図書の中から問題が出されていたのだとか。当時も本は読まないタイプだったと語るけーすけさんですが「せめて課題の5冊は読もう」と思ったのだといいます。そんな風に読んだ中で、どれもまあ面白いと思ったそうなのですが、その中でも特に印象に残ったのが『いちご同盟』だったのだそうです。

『いちご同盟』は、優秀な弟と自身を比較してしまう、劣等感の強い北沢良一が主人公。そんな彼に学校の人気者、野球部のエースで4番の羽根木徹也が、病気で入院中の上原直美のために映像撮影の依頼をするところから物語が動き始めます。劣等感から自殺まで考えてしまうほどだった良一が、徹也や直美と接するうちに人生観を揺さぶられていくという展開となっています。

命を主題とした物語の展開にも、もちろん心を動かされたようですが、けーすけさんがこの作品に捕まったのは、その書き出しの展開だったのだそう。

お前が北沢か?という徹也の呼びかけから物語が始まるという、そのこと自体に驚いたというけーすけさん。モノローグによる自己紹介ではない書き出しが「刺さった」のだとか。

冒頭で心を掴まれる作品は最後まで面白く読めるというのは確かにある気がします。小説独特の難しい表現に読みにくさやとっつきにくさを感じていたというけーすけさんでしたが、まさかの書き出しで魅了されてしまったのだそう。

お話を伺っている最中、何度か念を押すように本をあまり読まないということを繰り返していたけーすけさん。1話1話が短く、区切りの多い漫画をよく読むのだそうです。

「漫画ならその巻を読み終えたら、あ、次の巻ないわ〜って諦めがつくんですよね。15分くらいで区切りをつけられると考えると気が楽じゃないですか?漫画と比べると小説なんかは、その区切りも長いから読もうと思えばいつまでも読んじゃうのが困る」

決して本を読むことがお嫌いなわけではないようですね笑

自分の読書の基準となる1冊。

とはいえ、自ら積極的に本を読もうとはしないというけーすけさん。

「小説ってどうしても堅苦しいイメージがあって、川端康成の『雪国』がすげー文章表現だってことは分かるんですけど、読みやすいかというと僕にはそう思えなくって。有名なところでいえば、村上春樹なんかも読みました。面白いけどコッテリしているというか、独特の表現過ぎるなあという印象でした。小説ってクセがあるな〜、と思っていたんです」

著者の数だけある文章のクセ。それが肌に合うかどうかは実際に読んでみるまでは分からないもの。色々と読んではみたからといって、しっくりくる文章に出会えるかどうかは運次第、というようなところもあります。出会えた人はとても幸運だと思うのですが、けーすけさんはそんな幸運の持ち主の1人だったようです。

「この本は本当に読みやすいんです。テーマも分かりやすくて、印象に残りやすい。読み物で印象に残りやすいものって、分かりやすい表現でも生み出せるんだって思えたきっかけになった1冊ですね。たまに小説を読みたくなった時に、この本みたいな感じの作品を知らず知らずに選んでしまうような、そんな1つの基準になっているような気がします」

『いちご同盟』に出会っていなかったら、読みやすい小説ってやっぱり無いんだなと今以上に本を読んでいなかったかもしれませんね、とも。

自身のブログ記事を執筆する際には、色々な読み物をしてから文章を書くことが多いというけーすけさん。紹介したいモノやコトに向けたパッション溢れる記事を書きたいと思った時には、そういう熱量を持った文章を事前に読むといいます。

とはいえ、熱量や勢いだけで文章を書ければ苦労はありません。「読みやすい文章を書こう」という意識は、常にけーすけさんの記事には通底しています。

僕はよく仕事のお昼休みに「webledge」を読むのですが、彼の書く記事は読者に親しみを抱かせるような、距離感の近いものが多いような気がします。人と話をするのが好きで、自分の好きなものについても誰かに教えずにはいられないけーすけさんの、その土台となっているのが、実は『いちご同盟』なのかもしれませんね。

自分の考え方とリンクする1冊があるというのは、本当に羨ましいことです。

撮影を終えて

youtuberらしさ全開で、分かりやすく『いちご同盟』について語ってくれたけーすけさん。この日のために話す内容をまるっと頭に入れてきてくれたのかしら、と思うほど滑らかに動く彼の口を眺めているうちに『いちご同盟』読んでみたいなあという気にさせられていました笑 大好きな漫画『四月は君の嘘』と本書の関連についても言及しながら魅力を語る姿は、なんだか輝いて見えました。

素敵な奥さんと共に令和という新時代に漕ぎ出したけーすけさんが、これからどんな面白いものを分かりやすく見せてくれるのか、ますます目が離せません。

というわけで第22回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

ホントレートについて ホントレートは「本とあなたのポートレート」を省略したもの。庵主であるクロギタロウの造語です。本をたくさん読む人も、そうでない人にも人生...

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