ホントレート

【#ホントレート 13】時を越え火をつけてくれる伴走者。ブロガーKJの撮っておきの1冊

皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

13回目となる今回は、匿名の方からのご紹介。ちょうど五月病が発症しそうな人が増えてくるこの季節にピッタリな、熱く燃え上がらせてくれるような1冊です。

いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう。

お話を伺った人

KJさん

愛する奥様、お子様と信州で暮らす富士フイルムユーザー。元美容師さん。写真が好きで 最近はライカが欲しくてたまらない。

何者でもない自分の伴走を務めてくれた1冊

KJさんが持ってきてくれたのは、嵐の松本潤主演でドラマ化もされた料理漫画、せきやてつじ『バンビーノ!』 でした。

漫画を紹介してもらい、てっきり飲食関係のお仕事をされていると思ったのですが、KJさんご自身は元美容師さんだったとのこと。

「職業は違えど、この漫画の連載が始まった頃、二十歳ぐらいで美容師の仕事をやり始めたのですが、ちょうど主人公と同じ見習いのような立場だったんです。何者でもないところから這い上がろうと奮闘する主人公の姿が自分と重なって、俺だって…!というやる気に火を点けてくれる漫画でした」

最高のイタリア料理人になることを夢見る主人公の伴 省吾とは、実は誕生日が一緒なのだそう。罵声や時には鉄拳も飛び交う、戦場のような厳しい現場で揉まれる彼の懸命な様子が、KJさんの目には同志のように映っていたのかもしれません。

「この料理が食べてみたい!となるような料理にフォーカスしているというよりは、人間ドラマに主眼をおいた漫画です。登場人物もそれぞれに魅力的で、読んだタイミングのその時その時の自分の心の状態で、惹かれるキャラクターが違ったのも面白かった」

当初アルバイトとしてお店に入る主人公が、正式に働き始めたのがコミックスの3巻で、そこから様々な経験を経てパスタ場に移るまでに11巻かかっているのだそう。『バンビーノ!』一部自体が全15巻ですから、かなり長い時間をかけて修行しているようです。冗長に感じてしまいそうですが、そうではないとKJさん。

厨房でフライパンを握るようになるまで、主人公が歯を食いしばって努力をし、うまくいきかけては挫折し、それでもまた追いすがって料理人として成長していく姿が、自分の支えになっていたのだと。

整然とスマートに物事をこなしていく姿が讃えられがちなのが最近の風潮。両足で大地を踏み締めて一歩一歩泥臭く前進する姿を見せてもらえると、確かに勇気が湧いてきますね。

時を超えて胸を熱くさせてくれる頼れる1冊

「連載が始まったのが14年前。そんなに昔のことなのか…。ちょっと信じられないですが、そりゃ僕も歳をとるわけだ」と苦笑いをしていたKJさんに、1番印象に残っているシーンはどこか投げかけてみました。

この時は一緒にお酒を飲みながらのお話でリラックスした雰囲気だったのですが、この問いかけには少し引き締まった様子で答えてくれたKJさん。

「1番印象に残っているのは、とあるキャラクターが家庭の事情で料理人をやめてしまうシーン。結構嫌な感じの先輩キャラクターなんですが、辞める前に主人公の成長を認めて料理人の命とも言える包丁を渡すんです。ここにはグッときました」

「正直に言うと、この取材が決まって、久々に読み返してみたんです。どれぐらいぶりだろうという感じですね。それでもね、そのシーンはやっぱり良かった。家庭の事情で仕事を辞めてしまうところが自分にダブってしまって、補正がかかっているんでしょうが、やっぱり胸が熱くなりますね」

年齢や読むタイミングで、感想が変わるものだというのはよく言われることですが、変わらないということもあるんですね。今でも何者でもないんだけどね、と笑うKJさんですが、これまでに様々な経験をされてきたのだと思います。

そんな風に進んできて出来上がった今の自分と昔の自分が、同じ場面で熱くなれるのって、何だか良いですね。

変わることが良いことなのか、変わらないことが良いことなのか、そんなことは誰にも答えは出せないでしょうが、何が何でも成長してやろうとする『バンビーノ!』の主人公の姿勢は確かに熱いです。

読んでないのに、僕まで火を点けてもらったような気がしました。

撮影を終えて

取材後のDMのやり取りで『バンビーノ!』には第2部にあたる、『バンビーノ!SECOND』があるのだと教えていただきました。そちらは主人公の成長する様子があまりなく、読み込んではいないとも。オススメは第1部だそうです笑

4月入社の新社会人も含め、五月病患者が続出するゴールデンウィーク明けを乗り切るために『バンビーノ!』を読んで熱く燃えてみてはいかがでしょうか。

というわけで第13回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

ホントレートについて ホントレートは「本とあなたのポートレート」を省略したもの。庵主であるクロギタロウの造語です。本をたくさん読む人も、そうでない人にも人生...

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