ホントレート

【#ホントレート 36】全てができなくてもいい。自分の工夫でできることを考えられる強さを。ブロガーてんび〜の撮っておきの1冊

皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

36回目となる今回は、日々感じる「楽しい」を「好き」へと導くブログの主宰が教えてくれた1冊です。

ないものねだりをするのではなく、自分の力量を見極めた上で、しっかり自分の頭で考え工夫する思考の土台を作ってくれた本との出会いを楽しく語ってくれました。いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう!

お話を伺った人

てんび〜/加藤瑞貴さん

1998年東京生まれ。PCに詳しい父親の影響で、幼い頃からインターネットの海を渡る。小学6年生だった2010年にはごく自然な流れでブログで情報発信をスタート。現在運営するブログ「ガジェットTouch!」ではモノ、旅、音楽、タスク管理などのライフスタイル関連記事をメインに展開。「楽しい」を「好き」へと導いてくれる、遊びゴコロに満ちたブロガー。

ビビッときた。中身も見ずに手にとった、1冊。

現役の大学生だというのに「快適に働く」ことについて考えているの? てんび〜さんが撮っておきの1冊『モノが少ないと快適に働ける』を見せてくれた時に抱いた感想です。就職活動のことを見据えて手にした本なのだろうか、僕の頭の中でクエスチョンマークが膨らんでゆきました。ところが……。

「この本が発売されたのは2014年の3月。僕はちょうど高校受験が終わったくらいで、その3ヶ月くらい前の10月・11月ごろから毎月本屋にふらっと寄って、タイトルだけで本を選んで買うというようなことをやっていたんです。受験も終わって、4月から高校生活が始まるなあなんて考えながら、ライフハック関連の書籍が並ぶ棚の前を通りかかった時に見つけたんです」

(え…大学生どころか中学生の時に出会った…? 生き急いでいたの…?)というのが次に僕の心に浮かんだ正直な心の声です。そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、てんび〜さんは朗らかに言い放ちました。

「ホントに偶然の出会いだったんですよ。著者のことを知っていたわけでもないし、当時はミニマリズムなんて言葉も知らなかった。ましてや働き方なんて頭の片隅にもありませんでしたよ。なにせ義務教育中だから笑 義務教育中に働き方なんて考えたことありません。完全に偶然選んだ1冊ですが、気付けば高校・大学を通じて持っている本になっていたんですよね」

当時のてんび〜さんの部屋は散らかっていたのだそう。ガジェットやカードゲームなど、様々なモノが室内に散乱していたといいます。その様子を見た親御さんに叱られることもあったんだとか。そんなこともあり『モノが少ないと快適に働ける』というタイトルが目に留まった瞬間、ビビッときたのだそう。中身も確認せずにそのままレジに並んだきっかけが、思いがけず中学生らしくて安心しました笑

「家に帰って本を開いてみて、最初は写真に驚かされたんです。はじめのページに著者のオフィスの写真が掲載されているんですけど、めちゃくちゃ綺麗に整理されていて。その写真に衝撃を受けて、これはすごい本かもしれないって思ったんです」

第一印象は人でもモノでも本でも重要なポイントですよね。てんび〜さんはなかなか良いファーストコンタクトを果たしたかに見えましたが…?

「ただ…最初の方の流れをつくることについて書かれた箇所では、身の回りを整えるために紹介されているモノが結構高いものだったんです。封筒なのに皮でできていたりとか。中学生ですから、正直ちょっと手が出ないみたいなモノが多かったですね」

読み進めるうちに、ほんの少しだけ「もしかしたら買ったの失敗だったかも」という考えが頭をよぎったともいいます。しかし後半ではモノの整理の話から、物理的な環境を整える方向へと展開してゆき、「参考にするには難しいところもあるけれど、できるところから工夫してやっていくのも面白いかな」と思うように頭が切り替わっていったんだとか。当時本当に中学生だったの? と訊きたくなるほど聡明な少年だったようです。

多感な時期に出会えてよかった、1冊。

この本を読んで、まずはじめに実践してみたのは、皮のペンケースを買うことだったというてんび〜さん。小学生の頃にノートをカラフルに作るために多くの蛍光ペンや多色ボールペンを入れることをやめ、蛍光ペンにシャーペン2本、ボールペンに消しゴムというシンプルな構成に変えた、というよりは変えざるを得ない筆箱を導入したといいます。文具を入れるスペースをなくすことで、入れるモノ自体も減ったんだそう。高校生になってからは『モノが少ないと快適に働ける』の影響で、身の回りをどれだけ綺麗にまとめられるかという意識に切り替わっていたようです。

普段からライフハック系や自己啓発系の本を読むことが多いというてんび〜さん。そこに書かれている内容には彼曰く「絶対真似できないものがある」ので、自分だったらこれぐらいならできるかなあと線引きをして、できる範囲で工夫をこらしながら「やってみる」ことを大事にすることが考え方の土台にあるようです。

「この本に書いてあるのなんて、極論自分でオフィス借りましょうとかなんですよ笑 絶対無理じゃないですか中学生なんですから。でもそれじゃあオフィスを借りるのは無理でも、オフィスみたいな部屋にするにはどうしたらいいか、少ない手持ちでも色々できるようにするにはどうしようかというところを、この本を読んで少し考えられるようになりました」

少年時代からの付き合いになる本書と、もしも出会っていなかったら、例のごとく最後にそう訊ねてみました。

「出会ってなかったら…どうだろう。ある意味今のライフスタイル、自分の机の周りとか部屋の感じもないかもしれないですよね。それ以前に部屋がめちゃくちゃ汚いかも笑 あのタイミング、中学・高校生っていう思春期ど真ん中の季節にどれだけいろんな考えに触れることができたかで、大学生以降の過ごし方は変わるなと思っていて、今大学に通っている中でいろんな人や考え方を目にするたびにその思いは深まっていってますね。多感な時期にシンプルに暮らすという考え方を取り入れることができたのは、今の自分の中で少なからず財産になっているように思います」

ライフハック系の本を数知れず読んできた中で手元に残っている唯一の本が『モノが少ないと快適に働ける』だというてんび〜さん。高校生当時に月に1冊買っていた本は読み切ったら手放し、今であればメルカリに出品しているといいます。そんな彼の手元に6年以上ずっと残っているということは。もう言わずもがなですね。

「そんなに有名な本ではないと思うんです。ベストセラーみたいな話も少なくとも自分の中では聞いたことがありません。だけど自分の中にはめちゃくちゃ影響があったんだなって。今回本棚の中を見返してみてこれが一番古い本だったんですよね。親父に似て、最近衝動買いするようなことがよくあるので、またこの本を熟読しなきゃいけないですね笑」

最後は少し冗談めかして、しかし終始楽しそうに今回の本について話してくれたてんび〜さん。人生のかなり前半で出会った本とのこれから、そして彼の身の回りの整理がとても気になる今回のお話でした。

撮影を終えて

何かを整理すると生き方が窮屈になってしまうと考えていた僕ですが、てんび〜さんにお話を伺って、むしろその逆なんだと思うようになりました。身の回りを整えるために工夫を凝らすことで、整理以外のところの隅々にまで神経が行き届くようになる。ノイズを低減させることで自分自身の思考もクリアになる。

今回書ききれなかった中にもたくさんの学びがありました。これからのホントレートの方向性について考える上で、自分の身の回りを整えておく必要がある、そんなことを思いました。

というわけで第36回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?

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