皆さん、こんにちは。今日もだらだらしてますか?
どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。
「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」
そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」
9回目となる今回は、日本各地でフォトウォークを成功させているさんぽマイスターが教えてくれた1冊です。個人主催であるにも関わらず、毎回数十人の参加者が殺到する人気イベントが生まれた背景には、ある1冊の本があったのかも???
さてさて、どんな「撮っておきの1冊」なのか、早速教えてもらいましょう!
お話を伺った人
イイガミタケシさん
1991年大阪生まれのプログラマー。カメラについての情報をメインに発信するブログ「たけさんぽ」を運営。カメラを始めたい人・始めたての人の目線に立った、分かりやすく丁寧な記事が持ち味。ブログと同名のフォトウォーク「たけさんぽ」の全国7大都市開催を目指して奮闘中。最近「harenohi」という写真メディアを始めたとか。
流行のカギは谷にあり?
喫茶店で一杯のコーヒーを飲み終えたたけしさんが見せてくれたオレンジ色の装丁が眩しい本の表紙には、見慣れないカタカナが並んでいました。
キャズム…???
見慣れないどころか、僕は聞いたこともありませんでした。そう言うと、ブログ内の記事同様、丁寧にキャズムについて教えてくれました。
たけしさんによると、キャズムとは主にハイテク技術を駆使する業界で生まれた、新たな製品やサービスが市場を獲得し、成功するためにどうしても越えなければならない谷(溝)のことなのだそうです。
ふむふむ?と分かったような顔をして聞いていましたが、実はこのキャズム、マーケティングに関心のある人たちにはとても重要な理論なのだとか。
その理論について記したジェフリー・ムーア著『キャズム』とたけしさんの出会いは、大学時代、卒業論文の執筆時期にまで遡ります。
大学に入学し、初めて自分のパソコンを持ったというたけしさん。以来、ガジェットに興味を持つようになったのだそう。タブレットに至っては買っては売り、買っては売りを繰り返していたといいます。
大学生活を通してすっかりガジェット大好き青年に成長したたけしさんにも、御多分に洩れず卒業論文執筆の季節がやってきました。
当時世間では腕時計型の携帯端末「スマートウォッチ」が販売され始めた頃でした。この最新のガジェットが流行するのかどうかが気になっていたというたけしさんに、それならこれを読みなさいとゼミの教授が勧めてくれたのが『キャズム』だったのだそうです。
『キャズム』は、たけしさんが体感として持っていた流行に対するイメージに言葉を与えてくれたのだといいます。後のさんぽ伝道師は、この時『キャズム』から、いったい何を学んだのでしょうか。
さんぽは谷を越えられるか
キャズムの乗り越え方について気になる方には本を読んでいただくとして、理論について詳述することはしませんが、お話を伺う中でたけしさんが繰り返していたのが「1つ1つ小さいところから攻めていくことが大事」だということ。
どんなに優れたアイデアや製品が生まれたとしても、いきなり市場を独占しようとはしないのだそうです。あまりに無謀なことなのだとか。
広い対象市場を複数のサブ市場に分割し、1つ1つ攻略、統治していくことが谷を越えるためには重要なのだそう。
この小さな市場を制していくという考え方は、たけしさんが主催するフォトウォークにおいても意識しているところがあるといいます。
「フォトウォーク」という単語は多くの人の話題に上がるものではなく、いわばニッチな小さい市場です。
しかしそれは現状の話。もともと物事を戦略的に見ている方だというさんぽ伝道師。
さんぽで谷を越えるために、大きなところをいきなり狙わずにキャズムのセオリーを活かしつつ、活動を少しずつ拡大しているのだといいます。
実際に某有名企業からさんぽ企画が持ち込まれたりと、ブレイクスルーの兆しも見え始めているのだそう。
『キャズム』と出会えていなかったら、「たけさんぽ」をしてはいたかもしれないけれど、戦略的な視点を活用してのさんぽではなかったかもしれないと語るたけしさん。
盛り上がりを見せるフォトウォークの輪の中心にいる彼の次なる一手が、楽しみです。
撮影を終えて
お顔を出すことはNGだというたけしさんが「たけさんぽ」について語る様子をお見せできないのは残念ですが、これからに向けてのワクワクに満ちた良い顔をされていました。
自分のやりたい大切なことを「ただやりたいから」という気持ちだけで継続していくのは難しいことだと思います。
そこに戦略的な視点というピースを加えることで、自分の「やりたいこと」が「人に求められること」に変わる可能性が出てくるのだということをたけしさんは体現してくれているように思います。
たけしさんのやっていることは、未だキャズムの手前にある段階ですが、そこを乗り越えた先にある、フォトウォークの新たな局面を見られる日も近いのかもしれません。
ますますさんぽマイスターから目が離せません。
というわけで第9回目のホントレートはここまで。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!
あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?
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